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白峰三山縦走・・・4日目

2008/12/31(Wed)


_MG_1778.jpg
テント場にて

午前4時30分、パチッと目が覚めるが、
ホットなシュラフの誘惑を振り切る事ができず、しばらくの間、ボ~と過ごす・・・。

外は相変わらずの強風でテントが揺りかごのように
左右に揺さぶられていました・・・よく倒壊しなかったものだな、さすがはエアライズ♪

1時間ほど経過したところで、ようやくシュラフの誘惑を振り切る事ができ、無事に起床・・・ふぅ~、相変わらず、カラダが重く、食欲もない。とりあえず、ウイスパーライトに火を入れてお湯を沸かし、コーンスープをゆっくりと飲み干しましたが、うぅ、スープでさえも戻しそうになる。こんな体調なので大好きな珈琲も飲む気にならず、代わりにほうじ茶をゆっくりと飲み、行動用にも山専ボトルにほうじ茶を500ml入れ、テント内の片付けも済ませ、8時過ぎに外へ・・・。

強風が吹き荒れていましたが、今日も快晴・・・さぶい(-15℃)

今朝も強風下での撤収作業、昨日よりも風が強いので、更に細心の注意を払わないといけないし、
凍結したポールのジョイント部に息を吹きかけて溶かしたり・・・朝一から骨の折れる作業の連続です(苦笑)

そんなこんなでしたが、本日も無事に撤収作業を終了して、10時ジャストに農鳥小屋を出発。陽射しが眩しくて気持ち良かったのですが、真っ直ぐ歩く事が困難なほどの強風に悩まされながら、油断するとすぐに体制を崩されるので、絶景をゆっくりと堪能する事もできず、ただひたすら重荷と強風に堪えて歩いていると、1時間ほど登った辺りから先程までの強風が嘘のように止んだので、「これでやっと絶景を堪能できる」と強風から解放され、リラックスした状態で雪上散歩を楽しみながら、ゆっくりと標高を稼ぎ、13時過ぎ、標高3,000m付近まで登ってきたところで、左手の異変に気付きました・・・うっ、小指が動かない。

急いでアウターグローブとインナーグローブを外してみると、右手の小指は蝋人形のように真っ白に、右手の小指以外の両手の指先もピリピリと痺れたようになっていました・・・第1度の凍傷だな。原因は低温と強風、過度の疲労や食欲不振によるエネルギー不足に水分不足、そして、出発前にインナーグローブがほんの少しだけ湿っていたのですが、強風下での交換はグローブを紛失する恐れがあったので、快晴なのですぐに乾くだろうと交換しなかったのが一番の原因かもしれません。右手の小指は全く感覚もなく、冷たく凍り付いた状態だったのですが、口の中に入れて温めると、すぐに鈍痛が始まり、再び感覚が戻り始めたので、血管拡張剤を飲んで応急処置を施してから先を急ぎました・・・ホッ。

右小指の凍傷の事を気にしつつも、「これが雪山登山だよなぁ~」などと思いながら、絶景に酔いしれ、クラストした斜面は登りやすく、アイゼンでサクサクと軽快に、塩キャラメルでエネルギー補給をしながら順調に標高を稼いで、15時8分、間ノ岳(標高3,189m)に登頂(-17℃)

夏に来た時はガスの中だったのですが、
今日は天気にも恵まれて絶景を見る事ができて、とっても嬉しい♪

山頂付近では珍しく、今日は風も穏やかなので、記念撮影を済ませた後、ゆっくりと山頂周辺を散策してみると、あまり整地の苦労をせずにテントが設営できそうな場所を発見!両手の凍傷の事も気になるし、体力の面からも今日はここに泊まるのが最善と判断して、早速、テントを設営する事にしました・・・北岳のアーベントロートも見たいので♪

昨日までに比べたら、テントの設営は楽勝だな・・・と思っていたら、ポールのショックコードがこれまでの低温と強風の為に伸びきっており、使い物にならなくなっていました。とりあえず、修理をしなくては・・・と思い、オーバーグローブを着用したままで作業をするのですが、なかなかうまく進まず、このままテントが設営出来なければ、アーベントロートどころか命が危うい・・・。凍傷を患った両手を寒気に晒すのは大変危険でしたが、意を決して、インナーグローブ1枚で作業再開。凍傷が原因なのか、それとも高山病になったのか、思うように手が動かなかったので、口をうまく使って、なんとか日没前に作業終了・・・ホッ。

アーベントロートにはまだ間に合うと、急いで準備をしようとすると空嘔吐を何度も繰り返してしまいました・・・。それでも這うように山頂に戻ると、目の前にはアーベントロートに燃ゆる北岳がそびえ立っていました・・・何も言葉を発する事が出来ず、ただただ見惚れるのみ、気が付けば、目から涙がこぼれ落ちていました。しばらくして、ハッと我に返ると、再び空嘔吐が始まり、こちらでも涙目になりがらシャッターボタンを押して、何とか絶景をカメラに収める事ができました。そして、夕暮れも感動のフィナーレを迎える頃、周囲にも夜の帳が下り始め、寒さがツラくなり始めたので、足早にテント内へと撤収しました。

テント内に戻ると、いつものように整理整頓&着替えをしようとするのですが、押さえきれないほどの睡魔が襲ってきたので、マットだけ敷いて少しだけ横になる事にしました・・・。30分ほど寝たところで寒さで目が覚め、少しだけスッキリしたので、テント内の整理整頓&着替えを済ませ、食欲はないものの現在のテント内の気温は-19℃、無理にでも何か食べて熱エネルギーに変換しないと寝たら最後、確実に起き上がれなくなると思い、今晩は鴨鍋を食べる事にしました。食材は初日と同様に鴨肉、鶏のつみれ、白菜、白ネギ、ニンジン、ニラ、もやし、えのき、ぶなしめじをご用意。それらを鍋に放り込んで、しばらくの間、ぐつぐつと煮込めば出来上がり♪少しだけでも食べなければ・・・と思い、一口、二口と食べて、1/3程度食べたところで、やっぱり、胃が受け付けずに戻そうとするので、これ以上は断念しましたが、とりあえず少しだけでも食べれたので安心しました。

その後、心配していた両手の凍傷を見てみる事にしました。インナーグローブを脱いでみると、右手の小指の第一関節から上は紫色に変色、両手の症状に変化があまりなかったのは安心しましたが、左手の小指の先端が少しだけ紫色に変色していたのが気になりましたが、とりあえず、明日以降も寒冷に晒されるので、水泡ができる温水治療はせず、血行を良くする為、丹念にマッサージした後、血行促進剤を飲んで治療を終えました。そして、シュラフに潜り込んだ後、ほうじ茶を飲みながら、無線機でラジオを楽しみ、至福のひとときを過ごした後、カラダで一番暖かい股間で両手を温めながら、21時30分過ぎに就寝・・・5日目に続く。

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雪に埋もれる農鳥小屋

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間ノ岳を目指して

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農鳥岳方面を振り返る

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富士山遠望

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風雪紋と北岳

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ピークまであと少し・・・

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間ノ岳登頂♪

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アーベントロートに染まる北岳
 


         
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白峰三山縦走・・・3日目

2008/12/30(Tue)


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テント場にて

7時12分、外の明るさで目が覚める・・・カラダが重い。

しばらくの間、シュラフ内でボ~と過ごした後、起き上がって外の様子を伺うと、雲一つ無い青空が広がっており、風は相変わらず強いものの絶好の登山日和・・・テント内の気温-14℃。

昨日の疲労が回復していないので今日は停滞と決めていたのですが、こんな快晴の日に動かないのは
勿体無い、今後も予定通りに進めるとは限らないので停滞は取り止め、少しでも先に進む事に決定しました。

さて、今朝も昨夜に引き続き、食欲は無いものの、昨夜も食べていないので、さすがに今朝も食べなかったから動けなくなると思い、コーンスープに餅をトッピングしていただき、糖質を確保する為におしるこも流し込み、なんとかエネルギー源を確保・・・ふぅ~。

その後、モーニングコーヒータイムを楽しみながら、
テント内の片付け等を済ませ、強風吹き荒れる外へ・・・。

う~ん、陽射しが気持ち良い~♪

が、強風の中での撤収作業・・・テントを飛ばされないように
細心の注意を払いながら慎重に作業を進めて、なんとか無事にザック内に収める事に成功・・・ホッ。

「さぁ~、この目の前の斜面を登り切れば、大門沢下降点、頑張るぞぉ~」

気合いを入れつつもカラダは重い・・・11時4分出発。風に磨かれ、クラストしているかと思っていた斜面は意外に脆く、膝辺りまでズボズボと嵌るので効率が悪いのですが、稜線は間近、あの上に立てば、もうこの効率の悪い坪足ラッセルともおさらば、クラストした斜面をアイゼンでサクサク登れると思うと、やる気も断然違い、途中、何度か息を整えつつ、斜面を登りつめ、11時38分、大門沢下降点に到着(-9℃)

「ふぅ~、やっと着いた」と腰を下ろして休憩タイム♪

この大門沢下降点付近はかなりの強風が吹き荒れるようでほとんど雪が無く地面が露出しているので、この辺りだけを見ると、今、雪山に居る事さえも忘れてしまいそう(笑)そういう事なので、少しの間だけアイゼンも不要なので取り外し、ザックに取り付けて、ちょっと怪しげな雲が広がり始めているのが気になるのですが、12時11分、農鳥岳の頂を目指して出発。

しばらくは夏道を辿りながらの快適な稜線歩きで、30分ほど歩くと再び雪の斜面が現れ、ここから先はピッケルとアイゼンの世界・・・遠目から見ても、ガチガチにクラストしているようなので、「やっとサクサク標高3,000mの雪上散歩を堪能できるなぁ~♪」と、ザックを下ろして、アイゼンを装着し、カントリーマアムでエネルギーを補給してから出発。相変わらず風は強かったのですが、アイゼンでサクサクと快適に登れる斜面は楽しく、至福の時を味わいながら登り、14時38分、ついに農鳥岳(標高3.026m)に登頂(-15℃)

標高850m前後の奈良田からこの農鳥岳までの標高差2,176m、夏も長かったけど、冬は更に長く感じた、その分だけ辛かった、死ぬ思いもした・・・でも、なんとか無事にここまで辿り着く事ができて、くぅ~感無量(涙)心の中は飛び跳ねるほど元気だったのですが、肉体は疲労困憊だったので、ちょっと風を避けられる場所でシリアルチョコバーを食べながら登頂の喜びを噛み締めました・・・でも、疲れたぁ~。が、しばらくすると周囲はガスに覆われ始めたので、悪天候に捕まる前に農鳥小屋まで行かねば・・・と思い、15時31分、色んな思いを胸に収め、先を急ぎました。

先ずは西農鳥岳を目指す事にしましたが、すぐにガスに覆われてしまい、おまけに風も更に強さを増し始め、時折襲ってくる突風をやり過ごす為、度々耐風姿勢をとらなければならず、なかなか思うように先ヘ進む事が出来ません。それでも先に進むしか道は無いので、突風が吹くタイミングを計りながら、ゆっくり、慎重に登って行くと、所どころ雪が全く無い場所があり、別に何を気に掛ける訳でもなく、通過していると、いきなり車ではねられたような衝撃の突風に襲われて横転してしまい、あと一歩で真っ逆さまに転落という寸前でなんとか止める事に成功。もう1回、同じような突風が吹いていれば、確実に転落していた事でしょう・・・死神が間近に居るような気配を感じる。

とりあえず、ほふく前進でこの場を切り抜け、更に細心の注意を払いながら登って、16時52分、西農鳥岳に到着(-18℃)この頃になると雪が降り始めたので、5分ほど休憩してから先を急ぎましたが、程なく、悪魔の息吹のような全ての物を凍てつかせるブリザードに捕まり、目指す農鳥小屋の方向が全く分からなくなりましたが、こんな時に役に立つのが、GPS、地図、コンパスの新三種の神器。GPSには吹雪の中での行動を予想して、予め、農鳥小屋までのルートを登録していたので、ここから先は電池節約の為に今まで使わずにいたルートナビを頼りに、更に地図とコンパスで2重3重に確認しながらデジタルとアナログのハイブリッドで歩く事にして、ヘッドランプを装着した後、明日への生存権をかけて、ブリザードの中を行軍開始。

叩きつける雪、頬を突き刺し、奈落の底へと突き落とす烈風に体力を奪われながらも気力を振り絞り、些細なミスも許されない状況下、少し下ってはルート確認を繰り返して、18時11分、倒れ込むように農鳥小屋に到着(-19℃)このブリザードの中でテントを設営するのは至難の業なので、すぐに開いているはずの冬季小屋を探すのですが、どの扉も雪に埋もれており、埋もれていない扉が見つかってもガムテープで封鎖されていたので冬季小屋での宿泊は諦め、テントを設営する事に・・・他に誰も居らず、それしか今晩生き延びる道は無い。

どこが適地か悩んだのですが、風は防げないものの少しはマシな感じの石垣と建物の間に設営できそうなスペースを見つけたので、そこに設営する事にしました・・・。パートナーが居れば、強風下での設営も比較的スムーズにいくのですが、単独の場合、先ずは飛ばされないようにテント内に荷物を入れて重石にした後、外張を取り付け、入口の反対側をペグダウン・・・石垣に使われているラグビーボールほどの大きさの石を拝借して、アンカーにしたのですが、それでも突風が吹くと動くので、なかなか完全に固定できずに大変です(苦笑)でも、設営出来なければ、もっと大変な事になるので、何度も何度も失敗を繰り返してはチャレンジして、19時30分、なんとか無事に設営完了・・・ふぅ~。

早速、テント内に入ると先ずは整理整頓、その次に着替え・・・寒波襲来で、明日以降、更に冷え込みが厳しくなるので、薄手のアンダーシャツ&タイツの上から中厚手のアンダーシャツ&タイツ、更にジップシャツ、そして、ダウンベストとダウンパンツを着込んで寒波に備えた後、夕食の準備に取りかかろうとするのですが、やはり、食欲が湧かず、疲労からなのか、すごく眠い。このまま寝てしまえば、明日は絶対に動けなくなると思い、なんとしても何か口に入れないと思い、夕食の準備を開始。今晩は元気が出るように、豚キムチ鍋を作る事にしました・・・辛い物は苦手だけど、これは大好き♪食材は、豚肉、キムチ、コチュジャン、えのき、ぶなしめじ、ニンジン、ニラをご用意!これらガチガチに凍り付いている食材を鍋に放り込んだ後、出来上がるまでの間、ウトウトと惰眠を貪りました・・・禁断の裏技です(笑)

20分ほど眠ったところでハッと目が覚め、豚キムチ鍋もイイ感じになっていたので、餅をトッピングして出来上がり~♪でも、相変わらず、食欲がなく、ボ~とする・・・食欲不振と疲労、水分不足のせいで高山病かな?意識をしっかり保持しなければ!と叱咤激励して、とりあえず、いただきます!食欲がないながらもなんとか胃袋に送り込んで夕食を済ませた後、シュラフに潜り込み、焼酎と珈琲はこの体調ではNGなので、ほうじ茶を飲みながら無線機でラジオを聴いて、束の間の楽しいひとときを過ごした後、22時過ぎ、テントが倒壊しない事を祈りながら、ビタミン剤と血管拡張剤を飲んでから就寝・・・4日目に続く。

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大門沢下降点にて

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地面が露出している登山道

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農鳥岳を目指して

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富士山遠望

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農鳥岳登頂♪

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トトロも祝ってくれています♪

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西農鳥岳を望む

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急変する天候

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本日のディナー
         

白峰三山縦走・・・2日目

2008/12/29(Mon)


_MG_1705.jpg
テント場の夜明け

午前4時30分、携帯のアラームで目が覚める・・・。
すぐにベンチレーターから外の様子を伺うと、予想通りの快晴♪

早る気持ちを抑えつつ、朝食タイム・・・コーンスープに餅をトッピング♪

簡単に朝食を済ませた後は、モーニングコーヒータイム♪
珈琲を片手に本日のルート確認&シュラフ等の片付けを済ませ、6時30分過ぎ、テント外へ・・・。

風もなく、穏やかな朝で気持ち良いなぁ♪

程なく、富士山の夜明け・・・ゆっくりと堪能した後、手早くテントを撤収し、7時54分に出発(2℃)

適度に積雪している登山道をゆっくりと登り、標高1,868m付近に8時52分到着(-4℃)塩キャラメルでエネルギー補給をした後、まだまだ先は長いので気合いを入れ直して出発。登山道から見え隠れする山々に感動しながらも、標高が上がるに従って増えてくる積雪量&重荷も邪魔をして、標高をあまり稼がないまま、時間だけが刻々と経過していく・・・やっぱり、この登りはツラい。

それでも途中で拾った木の枝を杖代わりに、適宜休憩を入れながら黙々と登り続けていたのですが、標高2,000mも越える頃になると、トレースはあるものの僕の重量には耐えられないのか、ズボッと膝付近まで嵌るようになり、ツボ足ラッセル状態で登らなければならないので、より一層、効率が悪くなり、疲労もピークに・・・ふぅ~。それでも、この辺りには幕営に適した場所はないので、疲れたカラダに鞭を振るって、先へと進みました。

標高2,400m付近から杖をピッケルに持ち替え、16時過ぎ、標高2,500m付近まで来たところで、トレースが右と左の2つに分かれている・・・。一旦は左に向かうが違うかなと思って引き返し、右に進もうとしたのですが、膝上まで埋まるのに閉口したのですぐに引き返し、埋まっても膝下までと比較的登りやすい左側へと再び進み始めました。

雪まみれになりながらも順調に先へと進むと、80度ほどの傾斜の斜面に到着。トレースはこの斜面の上に続いているので、疑う事もなく、この斜面に取り付きました。この時点でまだアイゼンは装着していませんでしたが、雪も程良く締まっていたので、ピッケルとキックステップで登れると思い、1/3付近までは快適に登っていたのですが、上に行けば行くほど、雪が脆くなり始め、1回、1回、ピッケルで足場を作りながら登らなければならず、効率の悪い登攀を強いられ、時間だけが無情にも過ぎていき、そして、斜面に取り付いたまま、夕暮れを迎える・・・。

ヘッドランプも出せないまま、周辺は徐々に夕闇が支配していき、このままでは危ないと思い、甲府盆地の夜景の明かりを頼りに、この斜面をトラバースして、ハイマツが生えている斜面に向かったのですが、こちらも雪が脆く、1mすら上がる事が困難で、現在地も不明、ザックも下ろせず、ヘッドランプもアイゼンも取り出す事ができない、そして、疲労困憊と、遭難の三大要素が揃ったのですが、脳裏を過ぎるのは、「遭難」の二文字よりも「死」の一文字だけ・・・。

この斜面を登りきり、あの稜線上に立ち、テントを設営する事ができれば生存する事が出来るのに、どうしてもこの斜面を登る事が出来ない・・・いや、もう登るだけの力も残っていない。風も強くなり始め、標高2,700m付近、気温も-10℃以下、そして、疲労困憊の状態から考えれば、明日の朝までは持たず、多分、凍死するだろう・・・。1度もピークを踏まず、有り余る食料を持ちながらも、この場で死ななければいけない事がとても悔しくて仕方がなく、涙が止まらない。最後まで諦めずに何度も斜面を登ろうとするのですが、50㎝も上がれない。

このまま来た道を下山すれば、きっとあの奈落の底への滑落死が待っているだろう・・・ならば、いっそのこと、この斜面から身を投げ出す事が出来れば、どんなに楽な事だろうか・・・が、僕は登山をする者だから、自ら命を投げ出す事は出来ない。「きっと、あの列車事故が運命の分かれ道だったのだろう、あの時、引き返していれば・・・」そう悔いながらも、僕が今日ここで死する事は運命なのだから、どんなにもがき苦しんでも変える事はできない・・・もう諦めて、現実を受け入れようと足元に目をやると、さっきからの悪あがきで、ザックぐらいは置けそうなちょっとした足場が出来ている・・・ザックを置いて、この足場が崩れなければ、まだ生存の可能性もある。この足場が崩れば、ザックは奈落の底へ落ちていき、装備を失った僕は「死」を待つのみ・・・きっと、運命は変えられる。

早速、実行開始。渾身の力を振り絞り、静かにザックを置くと、なんとか足場は崩れる事もなく、すぐにヘッドランプとアイゼンを装着、、「アァ、これで生き延びれる」と安心し、コンパスと地図とGPSを駆使して、現在地と目的地を割り出し、塩キャラメルでエネルギーを補給した後、文字通り、命を懸け、全身全霊を持って登攀開始・・・。アイゼンが効いて登れるようになったのですが、相変わらずの脆い雪なので、一歩進んでは半歩下がる状態でしたが、先程までの疲労困憊が嘘のようにカラダが軽く、エネルギーに魂が使われているかのような、ものスゴい力を感じる・・・人が生きようとする力はこんなにスゴいんだなぁ。でも、多分、今日生き延びれたとしても、明日以降、カラダの疲弊度はハンパじゃないだろうなぁ~などと考えながら、徐々に近付いて来る稜線に一喜一憂しながら登り、20時6分、稜線直下に出たところにテントが2張あったので、「アァ、これで明日も生きる事が出来る」と笑みがこぼれました。

が、またまだ安心は出来ず、この頃になると、風速15m以上の強風が吹き荒れており、この状況下でテントを設営出来なれば、生存の可能性はない。強風と地吹雪に邪魔されながら、何度もテントを飛ばされそうになりながらも、しぶとく諦めずに1時間30分かかって、なんとか無事に設営完了・・・ホッ。

テント内に入ると沸々とこみ上げてくる生存への喜び、こうやって明日も生きる事が出来る喜びに涙が溢れて出る・・・。日々日常では当たり前の事で分からなかった生きるという事の難しさ、素晴らしさに気付く事ができ、この先何があったとしても一生懸命に生き抜こうと決意を新たに、テント内の整理を終え、ダウンのベストとパンツに着替えると、雪を解かしてお湯を作り、疲労困憊で食事が出来る状態ではなかったので、ほうじ茶をコップ1杯だけ飲んだ後、23時50分、生存の喜びを噛み締め、テントが飛ばされない事を祈りつつ、明日は停滞と決めて携帯のアラームは解除してから就寝・・・3日目に続く。

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大門沢小屋

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富士山遠望

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あの稜線を目指して・・・まだまだ遠い

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積雪量が増す登山道

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富士の夕暮れに目を奪われつつも・・・
         
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